在留カードは、外国人の個人情報や在留資格、就労制限などを記載している身分証明書です。外国人を雇用する時に、在留カードの確認を国で推奨しています。
確認を怠ってしまうと、本来働くことのできない人を雇ってしまい、不法就労助長罪に問われる可能性があります。そうならないために、在留カードに関する基礎知識を身につけましょう。
在留カードとは?
在留カードとは、日本に3ヶ月以上の中長期滞在外国人に対して交付されるカードです。
中長期滞在や就労が認められる「証明書」のほか、パスポートに代わり各種許可の手続きを行う「許可証」という役割もあるので、多くの外国人は在留カードを身分証明書として使っています。
また、在留カードの携帯は日本に中長期滞在する外国人の義務です。携帯しなかった場合、その外国人が1年以下の懲役、もしくは20万円以下の罰金に処せられることがあります。
在留カードに記載している情報とは?
在留カードには、外国人の氏名、生年月日、性別、国籍、住所、在留資格、在留期間とその満了日、有効期間が記載されています。16歳以上の場合、外国人の顔写真も添付されます。
在留カードの記載事項に変わりがある際、その都度届け出をすることが義務です。例えば引っ越しの場合、区市役所で住所変更の手続きを行う必要があります。そして、新しい住所は在留カードの裏面にある住居地記載欄に記載されます。
なお、上記の記載事項はカードの両面だけでなく、内蔵してある高度のセキュリティ機能搭載のICチップにも記録されています。そのICチップを読み取ることで在留カードの記載情報を確認できます。
在留資格と就労制限
外国人が日本に滞在している間、何かしらの活動をする上で必要な資格を「在留資格」と言います。
在留資格は全29種類あり、従事できる就労活動や働ける時間がそれぞれです。そういった制限は「就労制限」と言います。
決まった就労制限を超えると外国人はもちろん、その人を雇った企業にも罰則が課されるので十分注意しましょう。各種資格と就労制限は下記の記事にまとめています。
くわしくはこちらの記事:【決定版】在留資格一覧表|全29種類と就労可否まとめ
在留期間の満了日と有効期間の違い
ほとんどの場合、在留カードの有効期間が在留期限の満了日になります。その期限は「在留期限」と言います。
ただし、「永住者」と「高度専門職2号」の資格保有者の場合、在留期間の満了日はないものの、在留カードの有効期間は発行から7年間です。
外国人が日本に滞在や就労するために有効期間内の在留カードの所持が求められます。そのため、在留期限が切れる前に在留カードの更新が必要です。
くわしくはこちらの記事:在留カード更新はいつ?|必要書類とタイミングを解説
外国人雇用時確認すべきポイント3つ
外国人を雇用する際に在留カードの確認が推奨されています。確認すべきポイントは大きく分けて3つあります。
いずれかの確認を怠ってしまった場合、本来就労することのできない外国人を雇ってしまい、罪に問われる可能性があります。そうならないために必ず以下のポイントを確認し、就労可能な外国人かどうかの判断をしましょう。
在留カードの有効期限
外国人を雇用する際に、在留カードの有効期限が切れていないかを確認するのは極めて重要です。
先述の通り、日本に就労するために外国人が有効期間内の在留カードを所持することが必須です。したがって在留カードの有効期限の切れた外国人は日本に働けません。
仮に提示された在留カードの有効期限が切れていた場合、更新されたカードの提示を求めましょう。提示のできない場合は、その外国人が不法滞在者の可能性が高いので、必ず専門家や出入国在留管理庁に相談してから雇用を検討しましょう。
在留資格と就労制限
在留期限が問題なければ、次は就労制限です。在留資格によって就労制限も異なるので、外国人に任せる業務内容や業務時間、就労先等が制限の範囲内であるかを確認しましょう。
ただし、在留資格と就労制限の組み合わせが200種類以上もあるため、不安があれば専門家や出入国在留管理庁に相談することをおすすめします。
単純労働で雇用する場合「資格外活動許可」の印も
単純労働とは、専門的な知識や技能を必要とせず、短期間の訓練で行う事が可能な単純な労働のことです。例えば、飲食店のホール業務やコンビニの接客業務です。
2022年1月時点では、単純労働向けの在留資格はありません。そのため、永住者や定住者を除き、外国人に単純労働を任せるのは原則的に禁止されています。ただし、出入国在留管理庁から資格外活動許可を取得した外国人が例外です。
資格外活動許可を取得された場合、外国人の在留カードの裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」の印鑑が押されます。また、パスポートにも資格外活動許可の印紙が貼られるので、単純労働者として外国人を雇用する場合、この2つの確認してみてください。
くわしくはこちらの記事:資格外活動許可とは?| 留学生雇用の注意点
資格外活動許可欄に印鑑あるかを確認しましょう。
偽造在留カードにも注意!
外国人が就労可能かどうかは在留カードを使って確認しますが、それ自体が偽造の場合があるので注意が必要です。
増えている高精度偽造在留カード
近年、日本では外国人が偽造在留カードを利用し不法に滞在・就労するケースが後を絶ちません。2019年の偽造在留カードの所持等の検挙件数は748件と6年間で7倍の数値となっており、現在でも年々増加傾向にあります。
また、「永住者」や「定住者」など就労制限のない在留資格で作られた偽造在留カードも増加しており、その手口は年々巧妙になっています。
「永住者」「定住者」なら安心だと思わず、注意深く在留カードを確認するよう心掛けましょう。そのためにもこれからに記載されてる正しい偽造在留カードの見極め方法をまずは理解していきましょう。
偽造在留カードの見分け方法
年々増加傾向にある偽造在留カードですが、どうすれば、本物かどうか判断できるのでしょうか。ここでは偽造在留カードの見分け方法を3つ紹介します。
くわしくはこちらの記事:【2021年11月更新】要注意!出回っている偽造在留カードの最新情報
➀在留カードのホログラムとカード透かしを確認
偽変造防止対策として在留カードにホログラムとカード透かしが導入されています。
まずは、在留カードを手にとって上下左右に傾けて次の3つに不備がないかの確認をしましょう。
- 絵柄がグリーン色に変化
- 左端がピンク色に変化
- ホログラムが3D的動きをする
次は、暗いところで在留カードの表面から強い光を直に当てて透かして見ると「MOJMOJ…」の透かし文字が見えます。
ただし、ホログラムまできれいに偽造された在留カードが出回っています。下記の画像にご覧ください。ホログラムもきれいに作られていますが確認したところ偽造なものでした。
➁在留カード等番号失効情報を照会
在留カードが有効かどうかの確認は、出入国在留管理庁の提供する在留カード等番号失効情報照会サイトで行うことができます。
下記のURLにアクセスし在留カード番号と有効期限を入力する欄があるのでそこにカードの情報を入力し「問合せ」クリックすれば結果が出てきます。
土日祝日を除く、毎日午後5時から午後8時までの約3時間、メンテナンスのために使用できないのでご注意ください。
また、近年正規の在留カード番号と有効期限で作られてきた偽造在留カードも多く発見されているため、照会サイトだけでの偽造確認は不十分と言えるでしょう。
➂専用アプリでICチップから確認
先述の通り在留カードはICチップを搭載しています。そのICチップを読み取り、カードに記載されている情報を比較し、本物かどうかを確認できます。
ICチップの読み取りは難しいと思われがちですが、最近は専用のスマホアプリがリリースされているので、在留カードをかざすだけで10秒以内にICチップを読み取れます。
まとめ
偽造在留カードと気づかずに外国人を雇ってしまった場合、偽造した外国人はもちろん、知らずに雇ってしまった企業側も罪に「不法就労助長罪」という罪に問われる可能性があります。
上記でお伝えした偽造在留カードの3つの見極めポイントには細心の注意を払い、確認するようにしましょう。
また近年ではさらに巧妙で、見た目だけでは全く判別できない偽造カードも出回っているため、専用アプリを用いてICチップから確認することを強くおすすめします。