2021年6月の「不法就労外国人対策キャンペーン」|実施情報とその概要のまとめ

外国人の不法就労問題に対処するため、出入国在留管理庁は2021年6月を「不法就労外国人対策キャンペーン月間」として決定しました。キャンペーン月間中において、出入国在留管理庁の作成したリーフレットを用いて外国人を雇用する企業や事業主に対して不法就労とその対策についての理解と協力が求められます。

この記事では、不法就労外国人対策キャンペーンの基本情報やそのリーフレットの内容をまとめました。

不法就労外国人対策キャンペーンの実施期間と主な対象

今回の不法就労外国人対策キャンペーンは2021年の6月1日から30日までの1ヶ月間を行います。外国人を雇用する企業や事業主だけでなく、事業主団体や関係行政機関、地方公共団体などもキャンペーンの実施対象となっております。

不法就労外国人対策キャンペーンの実施内容

ここでは、不法就労外国人対策キャンペーンにおいて、出入国在留管理庁が行う4つの活動内容について見ていきましょう。

①企業に対する啓発活動

外国人を雇用している、もしくはこれから雇用を始める企業や事業主に対して出入国在留管理庁の作成したリーフレットで外国人雇用にあたる注意点と不法就労の防止を喚起します。

特に難民認定申請中で就労不可の人や被仮放免者の雇用です。仮放免者とは、すでに日本から退去強制処分が決定されたものの送還に至らず一時的に収容を解かれている外国人です。2018年末時点、被仮放免者は2,501人となり、10年間2倍以上も増加しました。

その詳細と不法就労防止キャンペーンリーフレットの内容は後ほど解説します。

②外国人雇用の関係機関に対する協力依頼

中小企業団体や商工会議所などの事業主団体、もしくは関係行政機関や地方公共団体に対して、不法就労防止に関する積極的な啓発活動を依頼します。

③研修会や説明会などへの講師派遣

外国人を雇用している企業やその関連団体が実施する研修会や説明会などに、地方出入国在留管理官署から職員を講師として派遣し、不法就労の防止を啓発します。

④地方公共団体との協力関係の強化

地方公共団体と連携し地域に密着した広報活動を実施し、不法就労外国人問題に対する正しい理解を深めます。例えば駅前や繁華街で街頭広報活動や地方公共団体との共同キャンペーン活動です。

そもそも不法就労とは

不法就労とは、日本で就労してはいけない人が働いてしまうことです。不法就労の対象になる場合は主に3つあります。

  • 不法滞在者や被退去強制者が働くケース
  • 出入国在留管理庁から働く許可を受けていないのに働くケース
  • 出入国在留管理庁から認められた範囲を超えて働くケース
不法就労とは?≪不法就労防止キャンペーンリーフレット≫より引用

くわしくはこちら:不法就労の外国人を雇ってしまったら!?外国人雇用のリスクと回避方法

不法就労外国人を雇用してしまうと最大3年の懲役

不法就労外国人を雇用した、もしくは働かせた場合、企業が不法就労助長罪に問われます。不法就労助長罪に問われると、最長3年の懲役、最大300万円の罰金が科される可能性があります。

在留カードの確認漏れのような過失があった場合も処罰から免じられません。つまり、「知らなかった」だけでは不法就労助長罪からは逃れません

また、不法就労の外国人に仕事をあっせんしたり、手伝ったりすることも不法就労助長となります。

くわしくはこちら:不法就労助長罪とは?知らなくても処罰対象!防ぐ対策を徹底解説

不法就労外国人を雇用しないため3つのポイント

ここでは、不法就労を助長しないために、外国人を雇用する際に確認しないといけない、出入国在留管理庁が推奨する3つのポイントを解説していきます。

ポイント①:在留カードの表面を確認

外国人を雇用する前に、在留カードを確認しないといけません。在留カードとは滞在外国人の身分証明書です。確認する場所は主に2つあります。

1つめは在留カードの真偽です。従来、出入国在留管理庁ホームページに設置されている「在留カード等番号失効情報照会」ページに、在留カードの番号と在留期間を入力してチェックする方法が推奨されていました。

ただし、近年実在する在留カードの番号を用いて作成した巧妙な偽造在留カードがよく出回っているので、照会サイトだけでなく専用のアプリを利用して在留カードのICチップ情報の読み取りで本物の確認したほうがおすすめされています

くわしくはこちら:【2021年5月更新】要注意!出回っている偽造在留カードの最新情報

2つめは「就労制限の有無」欄。外国人の就労制限が記載されています。制限は基本的に3種類あります。

  1. 「就労不可」の記載がある場合:原則雇用はできません。一部例外ありますがポイント②を確認してください。難民認定を申請している人でも、在留カードに「就労不可」と記載されている場合、雇うことはできません
  2. 一部就労制限がある場合:制限内容を確認してください。記載内容は次のいずれかのがあります。
    1. 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
    2. 「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」(在留資格「技能実習」の場合)
    3. 「指定書により指定された就労活動のみ可」(在留資格「特定活動」)
  3. 「就労制限なし」の記載がある場合:就労内容に制限はありません。

くわしくはこちら:【決定版】在留資格一覧表|全29種類と就労可否まとめ

ポイント②:在留カードの裏面の「資格外活動許可欄」の確認

在留カードの表面に「就労不可」や「在留資格に基づく就労活動のみ可」が記載されていっても、裏面の「資格外活動許可欄」に次の記載があれば就労することが可能です。ただし、表記によって就労制限が異なるため、雇用する前に必ず確認してください

  1. 「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」:1週間以内28時間以内のアルバイトを従事できます。
  2. 「許可(「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「技能」に該当する活動・週28時間以内)」:地方公共団体との雇用契約に基づいて就労することができます。
  3. 「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」:資格外活動許可書に記載された就労活動を確認してください。

くわしくはこちら:資格外活動許可とは?| 留学生雇用の注意点

ポイント③:仮放免許可は在留資格ではない

仮放免許可書を持っている人は原則雇用してはいけません。仮放免許可書は、一時的に収容を解かれている、入管法違反の疑いで出入国在留管理庁による退去強制の手続きがされている人、もしくは退去強制が決まった人に対して発行する許可書です。

仮放免許可書の裏面に「職業又は報酬を受ける活動に従事できない」という記載があった場合、就労することができません。許可書に上記の記載がなければ、在留カードを見ながら上記のポイント①と②により就労可能かどうかを確認してください。

仮放免許可書≪不法就労防止キャンペーンリーフレット≫より引用

まとめ

2021年度の1回目の不法就労外国人対策キャンペーンは2021年6月に行っております。

このキャンペーンを通じて外国人雇用の際の注意点をしっかりと理解し、不法就労を防止しましょう。具体的にはポイント3つあります。

  • ポイント①:在留カードの表面を確認
  • ポイント②:在留カードの裏面の「資格外活動許可欄」の確認
  • ポイント③:仮放免許可は在留資格ではない