
2021年6月18日(金)、フォースバレー・コンシェルジュ株式会社と株式会社ウィルグループとの共催で「特定技能を有効活用するための3つの鍵」をテーマにしたWebセミナーを開催致しました。
当セミナーは、フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長 柴崎 洋平氏と株式会社ウィルグループ グローバルビジネス本部 プロダクトソリューション部 マネージャー 小野 秀明氏が登壇しました。
①コロナ禍における外国人労働者マーケット動向
柴崎氏:まず初めに、日本における外国人労働マーケットを中心としたお話をしていきたいと思います。
このままいくと日本の人口は、2050年に1億人を切り、2100年代には5,000万人に近付くなど、日本の存続自体が危ぶまれる状況になっていきます。このように、若者をはじめとする人口が減っていくことで、有効求人倍率が上がり求人不足がますます深刻になると読んでおります。

外国人在留者数・労働者数は共に増えています。私が、2018年にダボス会議に登壇した際に、移民と難民に対するアジェンダにおいて「この5年で最も外国人労働者を増やした国はどこだと思いますか?」という質問をしました。その答えが日本であることに、当時のオーディエンス全員見当もつかず驚いていました。この5年で在留者数が1.3倍、そして外国人労働者数に関してはほぼ倍以上になっている日本ですが、このようにこの5~6年で倍増している国は世界で他にないんですね。労働者、移民含めて一番外国人を多く受け入れてきたアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、もしくはシンガポールなどの国もこの5~6年でコロナの影響もあり受入れを絞っているんです。そんな中でも日本は受け入れている、実は世界で一番外国人を増やしている国ということになります。
そんな中新型コロナウイルスの影響で、2020年3月から2021年の6月までほとんど外国人の入国ができていません。技能実習生、留学生、そして高度人材の新規の入国は、すべて60%弱減少している危機的な状況にあります。今後、新型コロナウイルスのワクチン接種が一気に増え、経済が回復した後も、新規入国が減ったことで人手不足に襲われるのです。そもそもこの1年半、ほとんど外国人の労働者が入国していないという事実が、2021年後半、そして来年にかけてさらに重くのしかかってくるわけです。
ただ、そのような状況でも、卒業していく留学生や技能実習生がいるので、その方たちを「特定技能」で受け入れていくことが非常に大事なわけであります。
②「特定技能」の最新マーケット動向

柴崎:続いて、「特定技能」のマーケット動向についてですが、弊社独自の調査・推測結果では「特定技能」のマーケットの中でのプレーヤーは大きく分けて3つ、①技能実習の監理団体にあたる登録支援機関:約6,000社 ②外国人材:毎年新規に約15万人が対象として排出 ③受入企業:約5,000社 となっています。この数字で何を言いたいのかというと、働くことのできる外国人材はいる、サポートする登録支援機関も多く存在する、受入企業もどんどん増加傾向にあるということ。 実は「特定技能」はコロナ禍でも三方良しのマーケットと呼べるのです。

特定技能在留者数推移を見ていくと、2021年3月時点で、特定技能在留者は22,567人、2020年3月末時点より1年間で約6倍と大きく伸長しています。うち、海外からの受入は約4,500人(20%)程度と言えます。
新型コロナウイルスの影響で飲食業や宿泊業がストップして伸びない中でも、先ほどの数字のように国内で特定技能在留者が増えてきている、そんな人材マーケットと言えます。
特定技能在留者の内訳ですが、圧倒的にベトナムの方が多いです。要するに、技能実習生の大半を占めるベトナム人が「特定技能」への切り替えをするため、このように多い数字となっています。そのあと、中国、インドネシア、フィリピン、ミャンマーと続いていきます。
これらの方々が、どのようなルートで「特定技能」の在留資格を得ているのかというと、85%が「技能実習生からの切り替え」15%が「試験ルート(ほぼ留学生)」です。業種ごとの内訳でいうと、基本的には介護・外食・宿泊は試験ルートから特定技能になった方が多く、その他の業種は技能実習ルートがメインとなっています。
司会:ありがとうございました。海外からの入国が制限されている今、国内でも採用が可能な「特定技能」の受け入れの重要性を感じていただけたかと思いますが、新たに「特定技能」を受け入れる際、様々な懸念事項があり、受け入れを躊躇される企業様も少なくはないと思います。
③特定技能受入における懸念
司会:ここからは、「特定技能」を受け入れるにあたり、よく懸念される事柄について詳しく見ていきたいと思います。
「特定技能」の受入企業の懸念点は大きく分けて、「コストアップ・転職リスク・登録支援業務」があげられます。これら、3つの懸念点について柴崎様、小野様に詳しくお話を聞いていきたいと思います。よろしくお願い致します。
柴崎:本日のメインテーマとなる「特定技能受入企業における懸念」についてここからお話しします。
日本中の特定技能受入機関、監理団体、登録支援機関にヒアリングを行ったところ、受入企業や受入ポテンシャルのある企業が「特定技能」に踏み込めない懸念点が大きく分けて①人件費を中心としたコストアップ②転職リスク③登録支援業務が煩雑というの3つの声がありました。1つずつ説明していきます。

①コストアップの部分ですが、技能実習生に対して「特定技能」の方々は時給が50円ほど上がるケースが多いといわれており、そこで切り替えを懸念されている企業の声があります。しかし、月10,000円弱の人件費高騰はするものの、図を見ていただくとわかるようにトータルで考えると年間コストは抑えることができます。また、パート・アルバイトと比較しても、年間コストはほとんど変わらない。「特定技能」というのは決して、コスト高のスキームではないということですね。

②の転職リスクですが、現時点では転職はほとんど起きていません。「技能実習」では国のデータでも発表されているように、コンプライアンス違反や失踪などが問題視されていたので、「特定技能」の制度ができた当初は転職がものすごい頻度で起きるのではないかと言われていました。しかし制度上、退職前後の申請手続きや、次の会社で働き始めるまで1~2か月程かかってしまうことから転職ハードルが高まり、あまり転職する人がいないのが現状です。もちろん申請期間の短縮化が進んではいるものの、予想していた数よりはかなり少ないです。
小野:③登録支援業務の煩雑さについて、再度支援業務の振り返りをしてみたいと思います。義務的支援項目といって必ず実施すべき項目が全部で10項目あります。
【義務的支援項目】
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 公的手続等への同行
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援
- 定期的な面談の実施、行政機関への通報
そのほかにも義務ではないがやったほうがいい任意的支援項目もあります。
「特定技能」を受け入れるだけで、これだけのすべきことがあることから受入れを懸念するケースがあるのです。
司会:ありがとうございました。
これらの懸念要因ゆえに「特定技能」の受け入れに踏み出せない企業様もいらっしゃるということですね。
「特定技能」を安心して受入し、そして有効活用するためには抑えておくべき3つの鍵があります。ここからは、その3つの鍵についてご説明をしていただきたいと思います。
④特定技能を有効活用するための3つの鍵
柴崎:先ほどもお伝えしましたように、「特定技能」とは3社のステークホルダー(外国人材・登録支援団体・受入企業)で成り立っております。
フローとして①【技能実習生→監理組合→技能実習対象企業(製造業、農業等)】②【留学生、その他→その他支援機関(人材紹介会社等)→留学生 対象企業(介護、外食等)】と主に2パターンあります。
①は、「特定技能」の85%が技能実習生といわれていますが、その方々は監理組合の方がしっかりグリップを握り、そのままネットワークを通じて受入企業に紹介していくのがメインの流れになっています。
②はのこりの15%の留学生は人材紹介会社を通じて、留学生の受入れを主にしている業種に紹介していく。これらが既存の流れとなっています。この「既存の枠組み」に捉われるな!というのが1つ目の「鍵」となります。1つの選択肢として、登録支援機関のサポートがなくても自社で内製化する形で受入ができる、直接外国人材にリーチできるという点を知っていただければと思います。
2つ目の「鍵」は、「人材調達網を広げろ!」です。現在、技能実習生出身の外国人を「特定技能」として受け入れている企業様は、日頃やりとりしている監理組合からのご紹介で受入をするケースが多いのではないでしょうか。ですが、技能実習生や留学生含め、もっと大きな人材調達網から獲得することでより多くの「特定技能」の受入をすることができる、選ぶことが可能になります。
最後の「鍵」は「支援業務の内製化を検討せよ!」です。支援業務を自社で内製化することができれば、登録支援機関を通さずとも「特定技能」の受入ができます。内製化をすることはそれなりのハードルはあります。先ほど小野さんから話がありましたように、登録支援業務の項目は多く煩雑になっています。ただ、一度スキーム化して内部にチームを立ち上げることができれば、月々登録支援機関にお支払するコストを削減することができるのです。

これらの3つの鍵について、ここから詳しくお話しします。
①「既存の枠組みに捉われるな!」
柴崎:特に技能実習生の受入企業様へのメッセージです。現状、監理組合さんから技能実習生をご紹介いただき受入しているケースがほとんどだと思います。しかし、パターンが決まっている「技能実習」とは違い、「特定技能」は人材の募集・確保から支援業務までの採用プロセスには様々な選択肢があり、自社で対応することも可能ですよということをお伝えしたいです。
②「人材調達網を広げろ!」
柴崎:1つ目の鍵の部分では、「特定技能」は様々な選択肢があり同じ枠組みでやる必要はないとお伝えしました。ただそんな中で、そもそも自分たちで内製化したらうまくいくのか、応募者は来るのかなど、特に「採用」の部分は一番心配な点だと思います。基本的に、監理組合さんからご紹介いただく母集団は、だいたい年数十人~数百人規模ですが、現状日本語学校や専門学校生や「技能実習」の就労見込み者併せて毎年15万人輩出されています。少し視野を広げると、このような大きな母集団から良い人材を積極的に取り込むことが可能になります。
③「支援業務の内製化を検討せよ!」
小野:既に「特定技能」の受入をおこなっている、そして受入検討中の企業様からランニングコスト(支援委託費)の費用対効果が高いという声をいただきます。なぜこのような声が上がるのかというと、受入時に費やす労力が多いのに対し、継続的にかかる労力は少ない。継続的にかかる労力は少ないのにランニングコストを毎月払わなくてはいけないことが企業様の障壁になっているのです。そこで、自社で支援業務ができれば毎月のコスト削減になり、劇的に改善されるのではないかというお話となります。
自社で支援業務をおこなうためには大きく分けて2つの条件があります。
1つ目は、支援責任者・支援担当者の選任です。基本的に、2年以上の実習生や留学生や永定住者のを受け入れている企業は条件に当てはまります。
もうひとつは、支援の中立性の確保です。自社で支援業務をおこなう際に起こりがちなのは隠ぺいです。支援の適正や中立性の確保の観点から、理想的な形は総務部や管理部など、現場作業に関する指揮命令権が無い中立的な立場の責任者などが望ましいです。これらの2点と支援項目が自社で運用できれば、毎月のランニングコストは削減可能となります。
司会:ありがとうございました。
今後、「特定技能」を有効活用するために抑えておくべきポイントを3つの鍵としてご紹介いたしました。
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