就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」について

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」

外国人が日本への中長期滞在を希望する場合、入国管理局にビザを申請しないといけません。その後、外国人に適切な在留資格を外国人を付与します。

就労目的の外国人へ付与する在留資格は一般的に「就労ビザ」と言います。2019年10月時点で、就労ビザで働いている人は33万ほどいました。その中で「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を持っている人は8割ほどの26万人となります。

「技術・人文知識・国際業務」は就労ビザの中で最も多いため、外国人の正社員雇用を検討する際はしっかりと押さえておきましょう。

就労ビザとは

就労ビザとは、就労目的で来日する外国人に付与する在留資格です。

2020年3月時点で、合計17種類の在留資格が就労ビザにあたります。

在留資格説明
外交外国政府の大使や公使、およびその家族
公用外国政府の大使館や領事館の職員、およびその家族
教授大学や専門学校の教授や研究者
芸術作曲家や小説家など音楽、美術、文学の仕事を従事する者
宗教布教や宗教活動を行う者
報道記者やカメラマン
高度専門職1号:法務省令で決める基準に適合する高度人材
2号:法務省令で決める基準に適合する高度人材
経営・管理企業の経営者や管理者
法律・会計業務弁護士や公認会計士
医療医師や歯科医師や看護師
研究政府機関や私企業の研究者
教育教育機関での語学教師
技術・人文知識・国際業務通訳や技術者や私企業の語学講師など
企業内転勤日本企業の海外支店から日本への転勤者
介護介護福祉士
興行俳優、歌手、スポーツ選手など
技能外国料理の調理師など、産業上の特殊な分野に熟練した技能を要する業務を従事する者

「技術・人文知識・国際業務」とは

外国人が技術者、もしくはオフィスワーカーとして働く場合「技術・人文知識・国際業務」という在留資格が必要となります。

その頭文字をとって「技人国(ぎじんこく)」とも呼ばれています。

2019年10月に、「技術・人文知識・国際業務」で日本で働いている外国人は26万人ほどいます、2018年10月より22%を増加してきました。少子高齢化によって労働人口が減っている日本には、労働力を確保するため、今後「技術・人文知識・国際業務」の外国人労働者が増えていくでしょう。

「技術・人文知識・国際業務」は、文字通り、「技術」「人文知識」「国際業務」に3部分から構成されました。

「技術」

「技術」に含んでいる業務は「理学、工学その他の自然科学の分野の知識を要する業務」となります。

入国管理局によって「技術」に該当する業務は以下となります。

  • 工学を専攻して大学を卒業した外国人が、ゲームメーカーでの、オンラインゲームの開発及びサポート業務を従事すること
  • 工学、情報処理を専攻して大学を卒業し、証券会社においてリスク管理業務、金利派生商品のリサーチ部門に所属してシステム開発に従事した後、日本の証券会社での、取引レポートや損益データベースなどの構築に係る業務を従事すること
  • 電気力学、工学を専攻して大学を卒業し、輸送用機械器具製造会社に勤務した後、日本の航空機整備会社での、CAD及びCAEのシステム解析、テクニカルサポート及び開発業務を従事すること

「人文知識」

「人文知識」に含んでいる業務は「法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野の知識を要する業務」となります。

入国管理局によって「人文知識」に該当する業務は以下となります。

  • 法学部を卒業した者が、法律事務所との契約に基づき、弁護士補助業務を従事すること
  • 経営学を専攻して大学を卒業し、経営コンサルタント等に従事した後、本邦のコンサルティング企業での、コンサルタント業務を従事すること

「国際業務」

「国際業務」に含んでいる業務は「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」となります。

入国管理局によって「国際業務」に該当する業務は以下となります。

  • 経営学を専攻して大学を卒業した後、日本の食料品・雑貨等輸入・販売会社での、通訳・翻訳業務を従事すること
  • 大学を卒業した後、日本の語学学校での、語学教師としての業務を従事すること

「技術・人文知識・国際業務」の申請の不許可ポイント5つ

「技術・人文知識・国際業務」の申請の不許可ポイント5つ

大学もしくは専門学校を卒業した外国人が「技術・人文知識・国際業務」を申請すれば、必ず審査を通ってビザを取れるわけではありません。

ここでは「技術・人文知識・国際業務」が却下されるポイント5つを紹介します。

専攻と職務内容の関連性が低いこと

外国人の専攻と従事する業務の関連性が低ければ、申請が却下される可能性が高くなります。また、留学生の場合は学校の成績も問われるかもしれません。以下に具体事例を3つあげます。

不許可事例①

国際コミュニケーション学科において,コミュニケーションスキル,接遇研修, 異文化コミュニケーション,キャリアデザイン,観光サービス論等を履修した者が, 人材派遣,人材育成,研修サービス事業を運営する企業において,外国人スタッフ の接遇教育,管理等のマネジメント業務を行うもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

不許可事例②

声優学科を卒業した者が,外国人客が多く訪れる本邦のホテルとの契約に基づき,ロビースタッフとして翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

不許可事例③

国際コミュニケーション学科において,日本語の文法,通訳技法等を履修した者が,新規開拓を計画中であるとする海外事業分野において,日本語が堪能である申請人を通訳人として必要とする旨の雇用理由書が提出されたが,申請人の成績証明書及び日本語能力を示す資料を求めたところ,日本語科目全般についての成績は,すべてC判定(ABCの3段階評価の最低)であり,その他日本語能力検定等,日本語能力を示す資料の提出もないことから,適切に翻訳・通訳を目的とした業務を行うものとは認められず不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

職務内容の専門性が低いこと

職務内容の専門性が低い場合は、審査が通りません。以下に具体事例を2つあげます。

不許可事例①

国際情報ビジネス科を卒業した者から,本邦の中古電子製品の輸出・販売等を業務内容とする企業との契約に基づき,月額18万円の報酬を受けて,電子製品のチェックと修理に関する業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,パソコン等のデータ保存,バックアップの作成,ハードウェアの部品交換等であり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするもとのは認められず,「技術・人文知識・国際業務」に該当しないため不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

不許可事例②

電気部品の加工を行う会社の工場において,部品の加工,組み立て,検査,梱包 業務を行うとして申請があったが,当該工場には技能実習生が在籍しているところ, 当該申請人と技能実習生が行う業務のほとんどが同一のものであり,申請人の行う 業務が高度な知識を要する業務であるとは認められず,不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

日本人より低い給与

外国人だから日本人より安く雇うのは禁止されています。外国人と日本人がもし同じ業務をする場合、外国人の給与は日本人と同等以上とされています。また、福利厚生も同様です。以下に具体事例を2つあげます。

不許可事例①

日中通訳翻訳学科を卒業した者から,輸出入業を営む企業との雇用契約に基づき,月額17万円の報酬を受けて,海外企業との契約書類の翻訳業務及び商談時の通訳に従事するとして申請があったが,,申請人と同時に採用され,同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額20万円であることが判明したため,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けているとはいえないことから不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

不許可事例②

工学部を卒業した者から,コンピューター関連サービスを業務内容とする企業と の契約に基づき,月額13万5千円の報酬を受けて,エンジニア業務に従事すると して申請があったが,申請人と同時に採用され,同種の業務に従事する新卒の日本 人の報酬が月額18万円であることが判明したことから,報酬について日本人と同 等額以上であると認められず不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

雇用の必要性が低いこと

業務の必要性が低いとされている場合は、審査が却下される可能性が高くなります。また、必要としても常時発生しなければ業務量が少ないためビザがおりないかもしれません。以下に具体事例を2つあげます。

不許可事例①

通訳・翻訳専門学校において,日英通訳実務を履修した者が,ビル清掃会社において,留学生アルバイトに対する通訳及びマニュアルの翻訳に従事するとして申請があったが,留学生アルバイトは通常一定以上の日本語能力を有しているものであり,通訳の必要性が認められず,また,マニュアルの翻訳については常時発生する業務ではなく,翻訳についても業務量が認められず不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

不許可事例②

日本語・日本文化学科を卒業した者が,人材派遣及び物流を業務内容とする企業との契約に基づき,商品仕分けを行う留学生のアルバイトが作業する場所を巡回しながら通訳業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,自らも商品仕分けのシフトに入り,アルバイトに対して指示や注意喚起を通訳するというものであり,商品仕分けを行うアルバイトに対する通訳の業務量が認められず不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

在留中の素行が悪いこと

日本に滞在した経歴があれば、その間の素行も審査の対象となります。また、留学生は学校の出席率が低いと、日本で滞在している間に許可された活動がしっかりと行われていないと判断される可能性があります。以下に具体事例を2つあげます。

不許可事例①

専門学校における出席率が70%である者について,出席率の低さについて理由を求めたところ,病気による欠席であるとの説明がなされたが,学校の欠席期間に資格外活動に従事していたことが判明し,不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

不許可事例②

商学部を卒業した者から,貿易業務・海外業務を行っている企業との契約に基づき,海外取引業務に従事するとして申請があったが,申請人は「留学」の在留資格で在留中,1年以上継続して月200時間以上アルバイトとして稼働していたことが今次申請において明らかとなり,資格外活動許可の範囲を大きく超えて稼働していたことから,その在留状況が良好であるとは認められず,不許可となったもの。

法務局『 留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン』より

まとめ

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するための要件や、どのような業務に従事できるかについて解説しました。

また、「技術・人文知識・国際業務」の申請が不可となる主な理由は以下の5つとなります。雇用時に就労ビザが取得できるかどうかを確認しましょう。

  1. 専攻と職務内容の関連性が低いこと
  2. 職務内容の専門性が低いこと
  3. 日本人より低い給与
  4. 雇用の必要性が低いこと
  5. 在留中の素行が悪いこと