この記事では、不法就労助長にまつわる事件をまとめています。さらに、その不法就労助長ポイントも解説していきます。自社で似たようなリスクを抱えていないかをしっかり確認しましょう。
2021年不法就労事件
ここで2021年に報道された、合計11件(2021年9月時点)の不法就労助長事件をまとめて紹介します。
2021年9月:建設資材会社の不法就労助長事件
業種 | 建設業 |
事件内容 | 不法残留外国人を就労させた |
不法就労ポイント | ・不法残留の外国人を雇用し就労させたため ・不法残留と知りながら手助けをしたため |
結果 | 懲役1年、罰金100万円、執行猶予3年 |
逮捕・送検された社員 | ・建設資材会社の役員 |
在留期限が切れ、日本に不法残留している外国人を雇用してしまうと不法就労助長罪となります。さらに、不法残留を手伝ったことが悪質とみられ、懲役も罰金も科されることになった理由といえるでしょう。
くわしくはこちらの記事:不法就労助長罪とは?知らなかったも処罰対象!防ぐ対策を徹底解説
2021年5月~9月:配達代行サービス大手の運営会社の不法就労助長事件
業種 | 配達代行サービス |
事件内容 | 外国人の配達員184人を不法就労させた疑い |
不法就労ポイント | ・在留期限切れや資格外活動許可のない外国人に仕事依頼したため |
結果 | 書類送検 |
逮捕・送検された社員 | ・配達代行サービスの運営会社の代表 ・配達代行サービスの運営会社の採用責任者 |
在留期限切れ、もしくは資格外活動許可を取得していない外国人に対して、配達の仕事を依頼したため、不法就労助長を疑われました。
資格外活動許可とは、留学生や家族滞在者など原則として就労不可の外国人の就労が認められる許可です。留学生や家族滞在者を雇用する際に資格外活動許可の有無を確認しなければなりません。
今回の事件について、採用する際に外国人の在留カードを確認しなかった可能性が大きいでしょう。
くわしくはこちらの記事:外国人を不法就労させないための2つの確認
また、今回の事件においては、会社の代表だけでなく、配達員募集の責任者も書類送検されました。経営者でなくても逮捕・送検される可能性があるため、油断してはいけません。
2021年8月:人材派遣会社の不法就労助長事件
業種 | 人材派遣業 |
事件内容 | 在留資格外の就労活動をさせ不法就労疑い |
不法就労ポイント | ・在留資格外の就労活動をさせた ・在留期間更新を行う際、虚偽の書類を提出した |
結果 | 逮捕 |
逮捕・送検された社員 | ・人材派遣会社の社長 ・人材派遣あ会社の営業部長(元) ・行政書士 |
人材派遣会社の社員として雇った外国人を食品工場を派遣し、在留資格外の就労活動をさせて、不法就労助長と疑われました。
就労ビザを持っている外国人社員は、原則単純労働といわれる仕事に従事できません。したがって食品工場にて働くことも難しいでしょう。
くわしくはこちらの記事:【決定版】在留資格一覧表|全29種類と就労可否まとめ
2021年8月:人材派遣会社の不法就労助長事件
業種 | 人材派遣業 |
事件内容 | 就労資格のない外国人を雇用し労働させた疑い |
不法就労ポイント | ・就労許可のない外国人を雇用し労働させた |
結果 | 逮捕 |
逮捕・送検された社員 | ・人材派遣会社の役員 ・人材派遣の従業員 |
外国人が日本で働くには就労可能の在留資格を取得する必要があります。ただし、この事件において就労できる所持していない外国人を別の会社に派遣したため、不法就労助長として会社の役員も従業員も逮捕されました。
くわしくはこちらの記事:【決定版】在留資格一覧表|全29種類と就労可否まとめ
2021年6月:人材派遣会社の不法就労助長事件
業種 | 人材派遣業 |
事件内容 | 在留期限切れの外国人を不法就労させた疑い |
不法就労ポイント | ・在留期限切れの外国人12名を働かせた |
結果 | 逮捕 |
逮捕・送検された社員 | ・人材派遣会社の代表 ・人材派遣の社員 |
在留期限が過ぎてしまったにもかかわらず派遣労働者として雇用し工場に派遣したため、人材派遣会社の代表と社員が不法就労助長の疑いで逮捕されました。
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2021年7月:登録支援機関の不法就労あっせん事件
業種 | 登録支援機関 |
事件内容 | 技能実習生を別の企業にあっせんした疑い |
不法就労ポイント | ・技能実習生を指定外の企業にあっせんしたため |
結果 | 逮捕 |
逮捕・送検された社員 | ・登録支援機関の代表者 |
技能実習生は基本、指定された企業のみ就労できません。それ以外の企業に働いてしまうと、外国人を雇用した企業はもちろん、仕事をあっせんした人や機関も、不法就労助長罪に問われます。
くわしくはこちらの記事:8分でわかる!「特定技能」とは?雇用方法や注意点、「技能実習」との違いも
2021年6月:建築会社の不法就労助長事件
業種 | 建設業 |
事件内容 | 就労資格のない外国人を雇用し労働させた疑い |
不法就労ポイント | ・観光目的、かつ滞在期間が過ぎた外国人を就労させた |
結果 | 逮捕 |
逮捕・送検された社員 | ・建設会社の役員 ・関連会社の従業員 |
観光目的で入ってきた外国人は原則として日本での就労は認められません。雇用してしまうと企業側が不法就労助長罪に問われます。
くわしくはこちらの記事:在留カードとは「在日外国人の身分証明書」
2021年4月:かばん工場の不法就労助長事件
業種 | 製造業 |
事件内容 | 在留期限切れの外国人に偽造在留カードを購入させ働かせた疑い |
不法就労ポイント | ・在留期限切れの外国人を雇用し労働させたため ・偽造在留カードを外国人に購入させたため |
結果 | 逮捕 |
逮捕・送検された社員 | ・かばん製造工場の経営者ら |
在留期限が切れた外国人は、在留資格のない不法滞在者になってしまうため、基本日本には働いてはいけません。不法滞在者を雇用してしまうと企業側が不法就労助長罪に問われます。
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2021年2月:人材派遣会社の不法就労助長事件
業種 | 人材派遣業 |
事件内容 | 不法滞在の外国人を働かせた |
不法就労ポイント | ・コロナの影響で帰国困難の不法滞在外国人を雇用し就労させたため |
結果 | 書類送検 |
逮捕・送検された社員 | ・人材派遣会社の社長 |
コロナ禍において帰国困難となり日本に残っている外国人は多いですが、すべても就労できるわけではありません。外国人の元の在留資格によって就労可能と就労制限が変わってくるので、細心な注意が必要です。
くわしくはこちらの記事:【決定版】在留資格一覧表|全29種類と就労可否まとめ
2021年2月:人材派遣会社の不法就労助長事件
業種 | 人材派遣会社 |
事件内容 | 不法残留や就労資格の外国人を就労させた疑い |
不法就労ポイント | ・在留期限切れの技能実習生を就労させたため ・技能実習生を在留資格以外の就労活動を従事させたため |
結果 | 逮捕 |
逮捕・送検された社員 | ・人材派遣会社の社長 |
在留期限切れ外国人を雇用や在留資格に許可されていない仕事をさせてしまうと、企業主が不法就労助長罪に問われます。
さらに、知らなかったとしても確認漏れや過失などが確認された場合にも、この不法就労助長罪が成立してしまいます。
この事件の容疑者のように「不法残留や資格外であることは知らなかった」と主張したとしても、罪に免じられない可能性が大きいでしょう。
くわしくはこちらの記事:不法就労助長罪とは?知らなかったも処罰対象!防ぐ対策を徹底解説
2021年1月:居酒屋の不法就労助長事件
業種 | 飲食業 |
事件内容 | 法定時間を超えた勤務をさせた疑い |
不法就労ポイント | ・留学生を1週間以上28時間以上に働かせたため |
結果 | 逮捕 |
逮捕・送検された社員 | ・居酒屋運営会社の幹部 |
資格外活動許可を取得している留学生は原則1週間に28時間までしか勤務できません。ただし、この事件の外国人留学生が2週間に合計100時間も勤務していました。つまり法律の制限よりも合計40時間以上働いていました。
制限時間超過にならないため、外国人留学生の勤務時間をしっかり管理する必要があります。時間管理の仕方がわからない、もしくは工数を感じてしまう場合、『アワマネ』のようなシステムの利用をおすすめします。
くわしくはこちらの記事:資格外活動許可とは?| 留学生雇用の注意点